嬉野市のユニバーサルデザインに関する取り組みについて、バリアフリーも含めて、ご報告させていただきます。
嬉野市では、平成17年度以前、つまり塩田町と嬉野町の合併前においては、バリアフリーという言葉は各種福祉計画に登場はしておりましたが、特に力を入れて取り組むということはしておりませんでした。
この画像にあるような『車椅子対応トイレ』を庁舎に整備したほか、歩道の段差解消や市内の医院や旅館等への手摺りやスロープの整備にとどまっておりました。
平成18年1月に新市が誕生したわけですが、平成18年度に合併後の市町村における独自の地域資源を活用した新たな地域振興策を検討する「地域活性化協働プラン策定事業」という県の支援を受けるに当って、合併後の新市のまちづくりをどのようにしていくかという議論を重ねて、やはり主産業である温泉を中心とする観光産業をなんとかしないといけないということになりました。
その観光産業は地域間競争が激化し、どの観光地もあの手この手で売り込みを図っていますが、新たな観光客の掘り起こし策として、障害者・高齢者観光に着目しました。障害者の方が、他の観光地では部屋にこもりがちになるけど、嬉野にくれば、安心して街を散策して、宿に戻れば、障害者に配慮したバリアフリーの部屋が用意してあり、露天風呂に入ることもできるなど、旅そのものを満喫できる観光地づくりをやろうということになりました。障害者・高齢者の方がいる家族旅行となるとやはり、その方を基準として行き先を決めることになります、そうすれば、障害者の数の数倍の入込が期待できるのではないか、という見込みもあります。
さらに、障害者にやさしいまちは高齢者にもやさしいまちです。今後の超高齢化社会を想定した場合、高齢者の方々にも楽しんでもらえる観光地は、必ず必要性を増すものと思っています。
また、障害者・高齢者へのおもてなしは相手の立場に立った思いやりが基本ですので、観光従事者の、健常者を含めた全体的な接客サービスの底上げに効果が期待できるものと思っています。
以上のようなことから、嬉野市では「ユニバーサルデザイン・バリアフリーを基本とするまちづくり」を進めることになりました。
そのユニバーサルデザイン・バリアフリーを基本とするまちづくりを具体化したのが、市内の各種団体や公募により集まったUDに関心の高い市民の熱心な話し合いにより策定された、この「嬉野市ひとにやさしいまちづくりプラン」です。
目標を「日本一のバリアフリーのまち うれしの」として、その実現に向けて
(1)バリアフリーなおもてなしのあるまち
(2)観光と公共施設等のユニバーサルデザインを進めるまち
(3)住民同士が助け合うまち
の三本の柱を立てて、それぞれに基本的な取り組み内容をまとめております。
それと同時に「ひとにやさしいまち」づくりについて、市全体で取り組んでいくという姿勢の表れとして、嬉野市議会において平成19年3月議会で「ひとにやさしいまち」宣言の決議が行われました。
宣言文の一部をご紹介します。
「すべての人に向けた意匠(ユニバーサルデザイン)の合理性を加味した、だれもがあたりまえに住みよく楽しい嬉野市を実現するため、ここに『ひとにやさしいまち』を宣言します。」
という内容で決議していただきました。
また、「ひとにやさしい」という精神を分かりやすい形にするため、モニュメントを設置することになりました。県内の女性彫刻家グループに製作を依頼し、少女がやさしさを手にしているという彫刻「心のふれあい」を平成19年12月に市役所玄関横に建立しております。
台座の前面には「作品名」「製作者」のほかに3月に決議していただいた宣言文を貼り付けております。
平成18年度において策定した「ひとにやさしいまちづくりプラン」の基本的取り組みを具体的に事業として、誰が、いつ、どのように取り組んでいくのかを明らかにした「ひとにやさしいまちづくり推進計画」を平成19年度に策定しております。
その中に、事業展開の中心となるバリアフリーツアーセンターの設置を含め、計36の事業を掲載しました。
現在、平成20年度における各事業の予算化や取り組み状況について、各担当課に調査票の提出を依頼しており、取りまとめができ次第、「ひとにやさしいまちづくり推進協議会」に報告し、意見を求めることにしております。
ここでいくつかの事例を報告します。ユニバーサルデザイン・バリアフリー化の実績として、計画づくりと平行して進められておりました、平成17~19年度の県事業「水辺空間創出事業」により嬉野温泉公園に、「車イス対応トイレ」や車イス利用者と健常者が同じ景色を横に並んで眺めることの出来るベンチなどを整備していただいています。
また、プランの目玉である、バリアフリーツアーセンターは伊勢志摩に次ぐ、日本で2番目のバリアフリーツアーセンターとして、平成19年12月6日にオープンしました。
左の画像は相談カウンターで車イス利用者に情報提供をしている様子です。また、右の画像はオストメイトなどを備えた多機能トイレを含めて機能別に4つのトイレを事務所内に整備した様子です。
市内の旅館・観光施設の調査・分析を継続して実施中で、蓄積したデータをもとに障害を持つ観光客の皆さんへの障害の度合いに応じた嬉野の旅の楽しみ方を情報提供しています。
オープン以来、4月末現在で旅館11件、その他48件の調査を行い、情報提供としては個人へ45件の回答をしております。また、マスコミの関心も高く、現在まで、20件の取材があっています。
この画像は温泉の入り口の段差を測っている様子です。健常者にはなんてことのない1㎝の段差の存在も、バリアになることがあります。調査は実際に車イス利用者が参加して詳細に行われ、あらゆるバリアの把握に努めています。
バリアフリーツアーセンターは啓発活動においても中心的な役割を果たしており、小学校での車イス体験教室の実施や5月に開催された国土交通省のUD教室に温泉入浴リフトの実演等で協力をしております。
また、今月23日に予定している外国人観光客への「指差しガイド教室」など外国人にもやさしい講座なども年間計画にそって行っていきます。
プランの目標である「日本一のバリアフリーのまち うれしの」を目指して、各種事業に取り組んだ後、それをどのように評価したらよいかという議論の中で具体的な数値を示そうということになりました。
ひとつめは観光情報誌「じゃらん」の九州観光地満足度ランキングで、3位以内を目指すこととなりました。ちなみに平成19年度21位、20年度18位というのが現状のランキングです。
それと啓発活動の結果を推し量るものとして、ボランティア登録数佐賀県1位を達成することとしました。これも現状は平成18年度調査で人口比において佐賀県5位となっています。
また、これは漠然としていますが、障害者の嬉野温泉に対するイメージ調査等において、ひとにやさしいと感じられるパーセントを向上しようということも目標とされました。
最後になりますが、佐賀県にはUD推進地区として選定していただき、およそ80ほどの支援メニューを示していただいております。これらを有効に活用させていただくとともに、市の36の推進事業を着実に行って目標の実現を図って行きたいと考えております。
また、平成22年度にはUD全国大会が佐賀県で開催されるとお聞きしておりますので、会場や宿泊関係などの与えられた役割についてCSOと行政が一体となってその成功に向けて取り組んで行きたいと考えています。
さらにすでに市内では説明会が始まっております、九州新幹線西九州ルートの「嬉野温泉駅」についても市長は「日本一バリアフリーな駅」にしたいと宣言しておりますので、どのような工夫ができるのかこれから新幹線担当課と検討を進めていきたいと思っております。
今後、嬉野市ではあらゆる事業について、ユニバーサルデザイン・バリアフリーの考えを基本に置きながら、取り組んで行きたいと考えております。まだ、取り組み始めてわずかな期間ですので、本日報告できることも限られており、あまり参考にならなかったかと思います。しかし、その中でも何か詳細を聞いてみたいというものがありましたら、嬉野市役所地域づくり課の私のほうに直接お電話をいただければ、説明をさせていただきたいを思います。
ということで、これをもちまして報告を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
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