客単価の向上は、売上を増やし、安定した利益を得るための鍵です。「客単価がなかなか上がらない」「どうすれば客単価が上がるのか具体的な方法がわからない」と悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では客単価を上げるための効果的な施策と具体的な方法を解説します。
店舗の売上を伸ばすのにお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
客単価を上げる効果的な施策
本記事では、客単価を効果的に上げるための施策を以下の4つの項目に分けて詳しく解説していきます。
- 価格設定を見直す
- メニューの改善
- 顧客とのコミュニケーション(接客)
- 設備の見直し
それぞれの施策が売上アップにどのように繋がるのかを具体的にご紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください!
価格設定を見直す
商品の単価を上げる
商品の単価を上げることは、シンプルながら効果的な客単価アップ施策です。ただし、単に価格を引き上げるだけでは、顧客が離れるリスクや安価な商品への切り替えが発生する可能性もあるので、慎重な配慮が必要です。そこで、単価上昇には「高品質な材料の使用」や「サービスの向上」などの付加価値をしっかり伝えることが大切です。値上げ後も満足してもらえる工夫を施し、長期的な信頼を築くことを心がけましょう。
価格を再設定する
メニューの価格を見直すことは、客単価アップのための重要な手段です。まず、競合他社の価格調査を行い、自店舗の立ち位置を把握することが有効です。コンセプトやターゲットをよく考えた上で、最適な価格設定を目指しましょう。さらに、メニュー全体で「中心価格」を決めると、顧客は予算の目安がつかみやすくなり、注文がしやすくなります。また、価格設定は複数の価格帯で構成すると効果的です。手ごろな価格帯から中心価格、少しリッチな価格帯までを設定し、選びやすいメニューを提供しましょう。
松竹梅の価格設定を用意する(複数の価格設定)
「松竹梅の価格設定」を導入することは、客単価を向上させる効果的な方法です。具体的には、以下のように価格を設定することを考えてみましょう。
- 松:8,000円(特選コースや高品質な商品)
- 竹:5,000円(標準コースや中程度の品質)
- 梅:3,000円(手頃なコースや基本商品)
このように設定すると、顧客は心理的に「失敗したくない」という気持ちから、真ん中の価格帯の「竹」を選ぶ傾向が強くなります。特に、松の価格帯では高級感や独自性を強調し、竹ではコストパフォーマンスの良さをアピールすることがポイントです。
また、梅の商品も魅力的に見せる工夫を施すことで、全体の購入促進につなげることができます。この方法を活用し、顧客にとって魅力的な選択肢を提供しながら、客単価の向上を図ることが可能です。
メニューの改善
POP、メニューの改善
POP、メニューの改善は、顧客に商品の魅力を効果的に伝え、客単価を上げるための重要な戦略です。
まずPOP(ポップ)については、商品やサービスの特長や信頼性をわかりやすく説明するのがポイントです。カラーは3色までに抑え、視覚的に情報が伝わりやすくなるように工夫することで、顧客の購買意欲を引き出します。
次に、メニューデザインを工夫することも効果的です。
単に商品名を並べるだけでなく、凝ったテキストや魅力的な商品画像を追加することで視覚効果が高まり、購入意欲を刺激できます。
- 商品名:フォントや色、大きさを最適化し、思わず注文したくなる魅力的な名前に
- 商品説明:使用する食材や調理方法、誕生秘話などの物語性を追加
- 商品画像:鮮明で食欲をそそる画像にし、メニュー内での位置や大きさも調整して視認性を向上
また、料理の横におすすめドリンクを載せることで、注文を促進します。
特に居酒屋やレストランでは、ドリンクとおつまみをセットで提案することで、より自然に追加注文を促すことができます。
さらに、人気メニューのリニューアルや期間限定の商品専用のメニューを導入することで、「今しかない」という購買動機を刺激できます。
セットメニュー、コースメニュー、食べ飲み放題の導入
セットメニューやコースメニュー、食べ飲み放題の導入は、客単価を上げる効果的な方法です。例えば、ランチタイムには単品メニューよりも、ドリンクやサラダ、小鉢を組み合わせた「お得なセット」を提供することで、注文率が向上しやすくなります。また、ディナーには「晩酌セット」や「シェアコース」を取り入れると、顧客が自然と高単価メニューを選びやすくなり、売上アップに貢献します。
コース料理は、一人あたりの予算が事前にわかるため、大人数の利用でも利用しやすく、店側にとっても客単価の向上が期待できる方法です。特に飲み放題や食べ放題プランは、飲食を楽しむ顧客層に人気で、集客効果が高いのが特徴です。また、単品客の客単価よりも高く設定することにより、平均単価がアップする効果もあります。
数量限定・期間限定・新商品メニューの導入
数量限定や期間限定、新商品の導入は、客単価を引き上げる効果があります。例えば、数量限定商品は「今すぐ買わないと無くなる」という希少性を打ち出し、顧客の購買意欲を高めます。
季節限定商品は旬の食材を使用し、季節感を楽しめるメニューとして差別化を図れます。
新商品は話題性を持ち、顧客の興味を引きやすい点がメリットです。
また、定期的なメニュー更新はリピーターを増やし、来店の動機づけにもつながります。
少し高い価格設定でも「新しさ」や「希少性」に価値を感じる顧客層を取り込みやすく、客単価の向上が期待できます。
上位商品を提案する(アップセル)
アップセルは顧客が選んだ料理や飲み物に対して、より高価格で魅力的なオプションを提案する手法です。例えば、顧客が通常のハンバーグを注文しようとした場合、「特製トリュフソースがかかったプレミアムハンバーグを今なら特別価格でご提供します」とアプローチすることで、高単価商品の購入を促せます。アップセルにおいては、顧客が選んだ商品よりも明らかに付加価値の高い提案を行うことが重要です。これにより、満足度を高めながら客単価の向上が期待できます。
ただし、アップセルは適切に行わなければ押し売りと捉えられることもあるため、顧客にとっての利益や満足感をしっかりと伝えることが重要です。例えば、「このセットメニューにはデザートがついてお得ですよ」と伝えることで、ただの商品の追加ではなく、特別な体験として受け止めてもらうことができます。これにより、より高価なメニューの注文を促すことが可能になります。
関連商品を提案する(クロスセル)
クロスセルは、顧客が商品を購入する際に、関連商品を同時に提案することで客単価を上げる販売戦略です。
例えば、顧客がピザを注文した際に、「サラダやデザートもいかがですか?」と提案することで、追加注文を促すことができます。
この手法は、顧客が購入意欲の高い状態にある時に、適切な関連商品を勧めることでより効果的です。重要なのは、顧客のニーズを考慮した上で提案を行うことです。無理に売り込むと、逆に顧客を遠ざけるリスクがあるため、適切なタイミングでの提案が鍵となります。
接客により顧客の購買意欲を上げる
接客による顧客の購買意欲の向上は、飲食店の客単価を上げるために非常に重要です。スタッフが顧客に提供する丁寧で心地よい接客は、単に注文を受ける以上の役割を果たします。たとえば、提供する際に「お飲み物はいかがなさいますか?」や「期間限定のおすすめ料理ですので、こちらもよろしければご一緒にどうぞ」といった提案をすることで、追加注文を促し売上アップにもつながります。
また、顧客が席に着いた瞬間からのフレンドリーな挨拶や、料理を提供する際に顧客とのコミュニケーションを大切にすることで、安心感を与え、購買意欲を引き出します。
スタッフが注文のタイミングや顧客の反応を見極め、強引にならず、自然な流れで柔軟に対応することが、リピーターを生む鍵となります。基本的なマナーや知識をしっかりと身につけ、適切なタイミングで顧客にアドバイスをすることが、売上向上に大きく貢献します。
設備の見直し
決済方法を増やす
決済方法を増やすことは、顧客体験を向上させ、飲食店の売上を増加させる重要な施策です。特に、クレジットカードやQRコード決済(PayPay、LINE Pay、楽天ペイなど)、さらには電子マネーやキャリア決済の導入は、現金を持ち歩かない顧客層の利用促進に繋がります。例えば、家族連れが現金を持ち合わせていない場合でも柔軟に対応できる店舗は、再来店の可能性が高まります。
さらに、一部の決済手段ではポイント還元や割引キャンペーンが実施されることがあり、これが顧客にとってのメリットとなります。これにより、「ポイントが貯まるからこの店を選ぶ」といった購買動機が生まれ、高額メニューや追加注文を促進する効果も期待できます。
ただし、複数の決済手段を導入する際には、各サービスの手数料の違いや運用コストを考慮することが不可欠です。顧客がよく利用する決済手段を見極めつつ、バランスよく導入することで、コストパフォーマンスを最大化できます。
テイクアウト・デリバリー・ネット販売
テイクアウト・デリバリー・ネット販売の導入は、客単価の向上に大きく貢献します。導入することで、顧客の選択肢を増やし、需要を広げることが可能です。例えば、テイクアウトやデリバリーを導入することで、店内の席数に制限されずに売上を伸ばすことができ、店舗に来ることが難しい客層にもアプローチできます。
また、ネット注文システムでは、「この商品と一緒によく注文される商品」や「おすすめ商品」などの機能により、追加注文を促進します。これにより、自然と客単価が上がりやすくなります。テイクアウト・デリバリー・ネット販売の導入は、店内客単価の増加に加えて、総合的な収益を大幅に引き上げることが可能になります。
客単価アップの事例(岐阜県下呂市の老舗洋食店)
岐阜県下呂市の老舗洋食店が、地元客の支持を維持しつつ観光客を取り込むことで、客単価を1,000円から1,700円台に引き上げることに成功しました。
客単価が上がった要因は、飛騨牛を使用した高単価メニュー(例:飛騨牛の牛カツやハンバーグ)を開発し、SNSやメディアを活用して話題性を高めたことです。この戦略が観光客に人気を博し、売上向上に繋がりました。
出典元:フードビジネス.com|地方の飲食店が満足度を高めながら、客単価アップに成功した秘密
客単価を上げることでのデメリット
客単価を上げることで得られるメリットは多い一方で、お客様の満足度低下につながるリスクもある為、注意が必要です。
客単価を上げる際に考慮すべきデメリットについて以下で詳しく解説します。これらを事前に理解することで、失敗を回避し、より効果的な施策を実行できるでしょう。
顧客の離脱リスク
過度な価格設定によるリピーター離れ
高すぎる価格設定は、顧客が「割高」と感じる原因となり、離れていくリスクを生じます。特に、価格が顧客の期待や市場価格に合わない場合、購買意欲が減少し逆に客単価が下がるケースもあります。
過剰なオプション付加による不満
商品の本質から外れる過剰なオプションや追加項目が多すぎると、選択肢に迷いが生じ、顧客にとって負担となり、購入を躊躇させる要因となります。
評価の低下
価格と品質のバランスが崩れる場合
価格に見合わない品質の商品を提供してしまうと、顧客は満足感を得られず、不満を抱きます。高価格にも関わらず、品質やサービスに不一致が生じると、リピーターを失い、評判を悪化させることになります。
ターゲット層からの支持を失う
客単価を上げることでターゲット層の購買力や期待と合わなくなる可能性があります。特に、値上げに見合う付加価値(品質やサービスの向上)が十分に感じられなければ、他店に流れるリスクが高まります。また、以前からの顧客が「この店はもう自分には向かない」と判断すると、長期的な信頼関係が失われる可能性があります。この結果、ブランドのイメージダウンや売上減少につながる恐れがあります。
客単価が下がる原因
商品の値下げや割引施策
商品の値下げや頻繁なセール、クーポン発行は短期的に顧客数を増やす効果があるものの、結果的に客単価を下げる要因となります。これにより、価格重視の顧客層が定着し、利益率が低下するだけでなく、商品の価値そのものが損なわれるリスクも生じます。価格以外の付加価値を強化することが、持続的な顧客維持に不可欠です。
購入点数の減少
一人当たりの購入点数が減少すると、自然と客単価も下がります。これは、競合他社の参入や、過度な価格引き上げが「割高感」を生み、顧客が一度の購入で控えることが原因です。さらに、購入動機を損ねる価格戦略が、顧客の購買意欲を下げる結果となります。
客単価を上げる以外で売上を伸ばす方法
新規顧客の獲得
新規顧客を増やすことは、売上拡大に直結する重要な要素です。店舗の認知度を高めるためには、デジタルではSEOやMEO対策を活用したWebマーケティング、実際に足を運んでイベントや展示会への参加など、さまざまな手段を講じることが有効です。また、顧客からの口コミや紹介を促進することで、新たな来店者を引き寄せることが可能です。
リピーターを増やす
リピーターを増やし、顧客との接点を増やすことは、売上拡大に非常に有効です。リピーターは商品の価値を理解しているため、通常よりも高額商品を選ぶ傾向があり、結果的に売上の増加が期待できます。リピーターを増やすためには、顧客満足度を高めるサービスや接客の改善や、メルマガやSNSを活用した定期的なコミュニケーションが重要です。さらに、普段とは別の場所での販売やSNSでの接触を増やすことで、顧客は商品やサービスだけでなく、お店自体に対する関心も高まり、リピーターにつながりやすくなります。
まとめ
客単価を上げるには、価格設定、メニュー改善、接客戦略など、多角的なアプローチが効果的です。単に値段を上げるのではなく、顧客に価値を感じてもらうことも重要となります。
紹介した施策を全て実施するのではなく、自分で取捨選択し、顧客の満足度につながるものから行っていきましょう。
新規顧客の獲得とリピーターの育成を意識し、常に顧客の視点に立ったサービス改善を心がけることが、売上向上の鍵となります。お客様に喜んでいただける工夫と戦略で、売上の向上を目指しましょう。